出入国在留管理局の「立入調査」、企業は何を準備し、どう対応すべきか?

入管の立入り調査

ある日突然、出入国在留管理庁(入管)の調査官が、事前の連絡なく事務所にやってくる──それが「立入調査」です。外国人を雇用する企業であれば、どのような規模の会社でも対象となる可能性があります。 立入調査は、外国人の在留状況や就労状況が、入管法に則って適正に行われているかを確認するために実施されます。この対応を誤ると、今後の外国人材の受け入れに大きな影響を及ぼしかねません。 本記事では、企業がいざという時に慌てないために、「立入調査」の目的、流れ、そして準備しておくべきことについて解説します。

目次

なぜ「立入調査」が行われるのか?

立入調査は、主に以下のような目的で行われます。

申請内容の事実確認:

在留資格の申請時に提出された書類(雇用契約書や職務内容説明書など)と、実際の就労実態に相違がないかを確認する。

不法就労の防止:

資格外活動や、許可された業務範囲を超えた労働(例えば、技人国ビザの者が現場作業のみに従事するなど)が行われていないかを確認する。

コンプライアンスの確認:

企業が、外国人材の雇用主として、入管法に基づく各種届出義務などを果たしているかを確認する。

調査当日の流れと、チェックされる主なポイント

一般的に、立入調査は以下の流れで進みます。

STEP
調査官の訪問

 2〜3名の調査官が、身分証明書を提示して訪問します。原則として、事前の連絡はありません。

STEP
書類の確認

担当者(社長や人事部長など)に対し、外国籍社員に関する書類の提示を求めます。

チェックされる書類の例

雇用契約書、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、組織図、職務内容がわかる資料など。

STEP
ヒアリング
本人へのヒアリング

外国籍社員本人に対し、担当している業務内容や、学歴・職歴、給与額などについて質問します。

責任者・同僚へのヒアリング

雇用主や、同じ部署で働く日本人社員に対し、本人の業務内容や勤務態度などについて質問します。

STEP
現場の確認

必要に応じて、本人が実際に働いている執務スペースや、工場の作業場所などを確認することもあります。

企業が「平時から」準備しておくべきこと

立入調査は突然やってきます。日頃からの準備が、いざという時の対応を左右します。

書類の整理・保管:

各外国籍社員の雇用契約書、在留カードのコピー、パスポートのコピーなどを、いつでも提示できるよう、ファイルにまとめて整理しておきましょう。

職務内容の明確化:

誰が、どのような業務を行っているかを、組織図や職務分掌規程などで明確にしておきましょう。「この業務は、彼の専門知識が不可欠です」と、客観的に説明できることが重要です。

勤怠管理の徹底:

タイムカードや日報などで、労働時間が正確に記録・管理されていることを確認しましょう。サービス残業などは厳禁です。

まとめ

立入調査は、決して恐れるものではありません。日頃から法令を遵守し、外国籍社員の就労状況や在留状況を適切に管理していれば、何も問題はありません。むしろ、自社の労務管理体制を見直す良い機会と捉えることもできます。 日々の管理体制に不安がある、あるいは、いざという時のための準備を専門家と一緒に行いたいという企業様は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

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