永住許可申請において、「日本の法律を守り、社会的に非難されない生活を送っていること」を示す「素行善良要件」は、非常に重要な審査項目です。しかし、具体的にどのような行為が問題となるのか、明確な基準が分からず不安に思われる方も少なくありません。
この記事では、交通違反や過去の処罰歴など、素行善良要件の審査で特に注意すべき点を、入国管理局の審査基準を基に詳しく解説します。
「素行善良要件」の基本
入国管理局が示すガイドラインでは、「素行善良」とは「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」とされています。具体的には、以下の項目に該当しないことが求められます。
刑事罰(罰金刑以上)の有無
日本の法律に違反し、懲役、禁錮または罰金に処せられたことがある場合、原則としてこの要件を満たしません。
ただし、刑の言い渡しの効力が消滅した場合(例:罰金を納付してから5年が経過した場合や、執行猶予期間が満了した場合など)は、要件を満たす可能性があると見なされます。 過去に罰金刑以上の処罰歴がある方は、特に慎重な判断が必要です。
繰り返される交通違反
一度や二度の軽微な違反(例:一時不停止、15km/h未満の速度超過)であれば、直ちに不許可となる可能性は低いです。
しかし、
無免許運転や飲酒運転、20km/h以上の大幅な速度超過といった重大な違反は、一度でも審査に深刻な影響を与える可能性があります。 また、軽微な違反であっても、短期間に何度も繰り返している場合は「遵法精神に問題あり」と見なされ、不許可のリスクが高まります。
入管法違反(資格外活動など)
意外な落とし穴となるのが、資格外活動許可の範囲を超えた就労です。例えば、「家族滞在」のビザを持つ方が、許可されている週28時間を超えてアルバイトをした場合、それが発覚すると素行善良要件を満たさないと判断される可能性があります。
公的義務の履行(納税・年金・健康保険)
税金、年金、健康保険料の納付は、日本に住む住民としての基本的な義務です。これらの支払いに遅れや未納がある場合、素行善良要件だけでなく、「国益適合要件」にも大きく影響します。
特に注意すべきは、審査で確認される期間です。
住民税などの税金を、定められた期限内にきちんと納付していることが求められます。
永住審査では、原則として直近5年分が確認されます。
国民年金または厚生年金に加入し、保険料を遅れずに納付していることが必要です。
永住審査では、原則として直近2年分が確認されます。
国民健康保険または会社の社会保険に加入し、保険料を納付していることが必要です。
永住審査では、原則として直近2年分が確認されます。
この期間内に一度でも未納や遅延があると、その事実だけで不許可になる可能性が非常に高いため、細心の注意が必要です。
口座引き落としまたは給与からの天引きでない場合、期限までに納付したことを証明する領収書等がないと、たとえ期限どおりに納付していたとしても不許可になる可能性があります。領収書等はなくさないよう細心の注意が必要です。
まとめ:ご自身の状況を専門家にご相談ください
素行善良要件は、単に「前科がない」ということだけではありません。交通違反の頻度や内容、公的義務の履行状況など、日常生活の様々な側面から総合的に判断されます。
「このくらいの違反なら大丈夫だろう」とご自身で判断せず、少しでも不安な点があれば、申請前に必ず専門家にご相談ください。
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