3年間真面目に技能実習に取り組んでくれた優秀な技能実習生。「このまま、もっと長くうちの会社で働いてほしい…」そうお考えの経営者様・採用担当者様は非常に多いのではないでしょうか。 「技能実習」からより実践的な在留資格である「特定技能」へ移行することは、従業員のキャリアアップと企業の安定した人材確保の両方を実現する素晴らしい選択肢です。 本記事では、技能実習から特定技能へスムーズに移行するために企業側が知っておくべき手続きの流れと注意点について解説します。
企業と外国人材、双方にとっての「Win-Win」な選択
技能実習から特定技能への移行は、単なる手続きの変更ではありません。それは、これまで会社に貢献してくれた優秀な人材のキャリアアップを支援し、企業自身も安定した労働力を確保できる、まさに「Win-Win」の戦略です。
企業にとっては、気心の知れた社員に、さらに長期間活躍してもらえるだけでなく、新規採用にかかる莫大なコストと時間を削減できるという、経営上の大きなメリットがあります。
従業員にとっては、技能実習で培ったスキルを活かし、より専門性を高め、日本人と同等額以上の報酬が保証されるという、キャリアと生活の安定に繋がります。
移行のための基本的なルートと要件
技能実習から特定技能1号へ移行するためには、原則として以下のルートのいずれかを満たす必要があります。
ルート①:技能実習2号を良好に修了し、関連する特定技能分野へ移行する
これが最も一般的なルートです。技能実習2号を「良好に」修了したと認められる方は、技能実習で習得した技能と特定技能1号で求められる技能の関連性が認められれば、技能試験と日本語試験が免除されます。

「技能実習2号を良好に修了」って?



具体的には、以下の2つの要件を満たしていることを指します。
1. 2年10か月以上の技能実習を修了していること。
2. 第2号技能実習計画における目標である技能検定3級、またはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していること。
この2点を満たしていることが、客観的な資料(技能実習計画修了の証明書や、試験の合格証など)で証明できる必要があります。
「技能実習の職種」と「特定技能の産業分野」の間に関連性が認められる必要があります。例えば、技能実習で「パン製造」を行っていた方が特定技能の「飲食料品製造業」分野へ移行するのは典型的な例です。
ルート②:技能試験と日本語試験に合格して、特定技能分野へ移行する
技能実習の職種と移行したい特定技能の産業分野に直接的な関連性がない場合でも、希望する分野の「技能測定試験」と「日本語能力試験」に合格すれば、特定技能1号へ移行することが可能です。
企業側がサポートすべき手続きの流れ
まず、本人に特定技能へ移行する意思があるかを確認し、どの産業分野へ移行するかを協議します。
企業と本人の間で特定技能としての新しい雇用契約を締結します。報酬額などが法令の基準を満たしているかを確認します。
以前の記事で解説した10項目の義務的支援を含む支援計画を策定します。(登録支援機関への委託も可能です)
本人の在留期間が満了する前(目安として3ヶ月前)に、地方出入国在留管理局へ「在留資格変更許可申請」を行います。
無事に許可が出れば、新しい在留カードが交付され、「特定技能1号」としての就労がスタートします。
まとめ
技能実習制度は国際貢献を目的としたものですが、特定技能制度は、日本の労働力確保を目的とした明確な「就労」のための在留資格です。 技能実習で頑張ってくれた社員の次のステップを企業として支援することは、従業員エンゲージメントを高め、企業の持続的な成長に繋がる非常に意義のある投資です。 具体的な手続きや自社のケースが移行の対象となるかなど、ご不明な点があればいつでもご相談ください。
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