特定技能1号の外国人材を受け入れる企業には、彼らの仕事面・生活面を支援するための「支援計画」の策定と実施が義務付けられています。この支援は、自社で全て行う「自社支援」と、専門機関に任せる「全部委託」の2つの方法があります。 多くの企業が選択する「登録支援機関への委託」ですが、そのメリット・デメリットを正しく理解し、自社に合ったパートナーを選ぶことが、受け入れ成功の鍵となります。本記事では、その判断基準と、賢い選び方のポイントを解説します。
「登録支援機関」とは?
「登録支援機関」とは、受入れ企業に代わって、特定技能1号外国人への支援計画の全てを実施することができる、出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関のことです。専門的な知識とノウハウを持ち、多言語対応が可能なスタッフが在籍していることが多く、企業の支援義務を代行する重要な役割を担います。
登録支援機関に委託する3つのメリット
- 1. 本来の業務に集中できる
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事前ガイダンス、空港への送迎、住居の確保、公的手続きへの同行など、支援計画には専門的かつ多岐にわたる業務が含まれます。これらを外部に委託することで、企業の担当者は煩雑な手続きから解放され、本来のコア業務に集中することができます。
- 2. 法令遵守(コンプライアンス)のリスクを軽減できる
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支援義務を怠った場合、企業は新たな特定技能外国人の受け入れができなくなるなどの、厳しいペナルティを受ける可能性があります。法令を熟知した登録支援機関に任せることで、気づかぬうちに法令違反を犯してしまうリスクを大幅に軽減できます。
- 3. 専門的なノウハウを活用できる
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外国人材が日本で直面するトラブルは、労働問題だけでなく、文化の違いによる悩みや、個人的な生活上の困難など、多岐にわたります。経験豊富な登録支援機関は、これらの問題に対応するためのノウハウを持っており、企業と従業員の双方にとって、心強いサポーターとなります。
委託のデメリットと注意点
もちろん、委託にはデメリットや注意すべき点もあります。
- 1. 継続的なコストが発生する
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登録支援機関への委託には、支援委託費用(外国人従業員1名あたり月額数万円が相場)が継続的に発生します。
- 2. コミュニケーションの課題
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支援を完全に外部に任せることで、企業と従業員の間に支援機関が介在し、直接的なコミュニケーションが希薄になる可能性があります。従業員の状況を、会社が把握しにくくなる側面もあります。
- 3. 支援の質のばらつき
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残念ながら、登録支援機関の中には、十分な支援体制が整っていなかったり、対応が悪かったりする機関も存在します。どの機関を選ぶか、という「目利き」が非常に重要になります。
後悔しない!「賢い登録支援機関」を見極める5つのチェックポイント
- 1. 【言語】従業員の母国語できめ細かな対応が可能か?
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英語対応のみでなく、ベトナム語など、従業員の母国語で直接相談できるスタッフがいるかを確認しましょう。
- 2. 【専門性】自社の業界・業種への理解があるか?
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建設業、介護、農業など、それぞれの業界特有の慣行や課題を理解している機関は、より頼りになります。
- 3. 【料金体系】支援内容と費用は明確か?
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月額費用にどこまでの支援が含まれているのか、追加料金が発生するケースはあるのか、契約前に必ず確認しましょう。
- 4. 【サポート体制】担当者のレスポンスは速く、丁寧か?
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緊急時に、迅速に対応してくれるか。担当者の人柄やコミュニケーションの相性も重要な判断基準です。
- 5. 【実績】支援実績や、他の企業からの評判は良いか?
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これまでの支援実績や、具体的なサポート事例などを尋ねてみましょう。
まとめ
登録支援機関への委託は、多くの企業にとって非常に有効な選択肢です。しかし、パートナー選びを間違えると、コストだけがかかり、十分な支援が行われないという事態にもなりかねません。 自社で支援すべきか、委託すべきか、また、どの登録支援機関を選ぶべきか。そうした経営判断に迷われた際は、ぜひ私たちのような中立的な立場の専門家にもご相談ください。貴社にとって最善の道筋を一緒に考えます。
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