日本で働き、生活の基盤ができてくると、母国に残してきたご家族と一緒に暮らしたいと考えるのは、ごく自然なことです。 そのために必要となるのが、在留資格「家族滞在」です。このビザは、日本で就労系の在留資格などをもって活動する外国人(扶養者)が、その配偶者や子供を扶養するために、日本へ呼び寄せることを目的としています。 本記事では、この「家族滞在」ビザの基本的な対象者や要件、申請の流れについて解説します。
誰が誰を呼び寄せられるのか?
「家族滞在」ビザを申請するためには、「扶養者(日本にいる人)」と「被扶養者(呼び寄せられる人)」の双方が、以下の要件を満たす必要があります。
- 扶養者(日本にいる人)の在留資格
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- 「教授」「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「法律・会計業務」「技能」「文化活動」「留学」など、ほとんどの就労資格や文化・学習系の在留資格が対象です。
- 被扶養者(呼び寄せられる人)の範囲
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- 扶養者の法律上の配偶者
- 扶養者の子(嫡出子のほか、養子や認知された非嫡出子も含まれます)
審査における2つの最重要ポイント
審査では、特に以下の2点が重要視されます。
1. 扶養者の「扶養能力」
扶養者(日本にいる人)が、呼び寄せる家族を経済的に支えることができるか、という点です。安定した収入や資産があり、公的な義務(納税など)をきちんと果たしていることが求められます。この「扶養能力」の証明方法は、扶養者の方の在留資格によって、審査のポイントが異なります。
- 就労ビザをお持ちの方(会社員など)の場合
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安定した年収があることが最も重要な審査ポイントとなります。法律で明確な金額が定められているわけではありませんが、実務上の目安として以下のように考えられています。
扶養する家族の人数 年収の目安 1人(配偶者のみ) 約250万円以上 2人(配偶者+子1人) 約300万円~350万円以上 もちろん、これはあくまで目安です。お住まいの地域の家賃や会社の福利厚生(社宅の有無など)によっても総合的に判断されます。
- 留学ビザをお持ちの方の場合
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留学生の方の場合、年収ではなく、「十分な預貯金があること」や「安定した仕送りがあること」で扶養能力を証明します。
- 証明方法の例:
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- ご自身の預金残高証明書
- 奨学金を受給していることの証明書
- 母国のご両親などからの、定期的な海外送金の記録
- 資格外活動(週28時間以内のアルバイト)による収入
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これらの合計で、ご自身とご家族が、日本で1年間、問題なく生活できるだけの資金(一般的に200万円程度が目安とされます)があることを示す必要があります。
2. 被扶養者の「活動内容」
「家族滞在」ビザは、あくまで扶養を受ける配偶者・子として、日常的な生活を送るための在留資格です。したがって、収入を伴う事業を運営する活動や、フルタイムで働くことは認められません。

アルバイトをすることはできますか?



はい、可能です。ただし、事前に「資格外活動許可」という別の許可を取得する必要があります。この許可を得れば、週28時間以内のアルバイトが認められます。
申請から来日までの一般的な流れ
海外にいるご家族を呼び寄せる場合、COE(在留資格認定証明書)を取得するルートが一般的です。
日本にいる扶養者が、申請に必要な書類(申請書、戸籍謄本や結婚証明書などの関係性を証明する書類、扶養者の収入を証明する書類など)を準備します。
扶養者が、日本の地方出入国在留管理局に「在留資格認定証明書(COE)」の交付を申請します。
COEが交付されたら、母国にいるご家族へ郵送します。ご家族は、そのCOEを持って現地の日本大使館・領事館でビザを申請します。
ビザが発給されれば来日できます。空港で「上陸許可」を受けると、その場で「在留カード」が交付されます。
まとめ
「家族滞在」ビザは、ご家族が日本で一緒に暮らすための大切な手続きです。特に、扶養者の扶養能力の証明や、本国での関係性を証明する書類の準備が鍵となります。 申請にご不安な点があれば、私たち専門家が、書類の収集から申請まで、しっかりとサポートいたします。お気軽にご相談ください。
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