永住申請 Q&A よくある質問:年金・税金・転職・家族など

永住許可申請は、日本での安定した生活基盤を示すための重要な手続きですが、準備を進める中で様々な疑問や不安が出てくるかと思います。特に、年金や税金の支払い状況、転職歴、ご家族の状況などは、審査にどう影響するのか分かりにくい点も多いでしょう。
このページでは、永住申請を目指す方々から特によく寄せられる質問について、Q&A形式で分かりやすく解説します。
永住許可全体の基本的な条件を確認したい方は、こちらの総合ガイドからご覧ください。

年金に関する質問
Q1: 過去に年金脱退一時金を受け取ってしまいました。もう永住申請は無理ですか?
A: 諦めるのは早いです。年金脱退一時金を受け取った事実は、永住審査において「永住意思がない」と見なされる非常に不利な要素です。しかし、絶対に不可能というわけではありません。
重要なのは以下の点です。
- 理由の説明: なぜ一時金を受け取ったのか、その後なぜ永住したいと考えが変わったのかを、理由書で具体的かつ合理的に説明する必要があります。
- 再加入と納付実績: 一時金受給後、速やかに年金制度に再加入し、現在まで継続して保険料を納付している実績を示すことが極めて重要です。納付期間が長ければ長いほど有利です。
- 他の要件: 他の永住要件(居住歴、収入、税金、素行など)を完璧に満たしていることが大前提となります。
結論: ハードルは非常に高いですが、可能性はゼロではありません。必ず専門家にご相談ください。
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Q2: 学生時代の国民年金に「未納期間」があります。どうすればいいですか?
A: まず、「未納」なのか「学生納付特例(納付猶予)」を受けていたのかを正確に確認してください。年金記録で「サ」と記載されている期間は学生納付特例であり、永住申請では原則問題ありません。
問題は「* 未納」と記載されている期間です。
- 直近2年以内の未納: 永住申請前に必ず納付することが必要です。未納のまま申請すると不許可になる可能性が極めて高いです。
- 2年以上前の未納: 過去2年分までなら後から納付することができます。それより以前の分は、「未納」の事実を消すことはできません。理由書で正直に事情を説明し、現在は適切に納付していることを示す必要がありますが、審査は不利になる可能性があります。
- 「留学生だった」という説明だけでは不十分です。未納は公的義務の不履行と見なされます。
まずは年金事務所でご自身の記録を確認し、納付手続きについて相談してください。
税金に関する質問
Q3: 住民税を滞納(期限後に納付)してしまったことがあります。永住申請に影響しますか?
A: はい、大きく影響します。 永住申請では、原則として直近5年間、全ての期別の住民税を納付期限内に支払っていることが求められます。
- 1日でも遅れると不利に: たとえ完納していても、納税証明書や領収書等で「期限後の納付」であることがわかると、原則として「適正な納税義務の履行」とは見なされず、不許可の理由となる可能性が高いです。
- いつ申請できるか: 納付遅延があった年度が、審査対象の「直近5年間」から外れるまで待ってから申請するのが安全です。(例:2023年度に遅延があれば、2029年半ば以降の申請が目安)
Q4: 収入は給与だけで会社で年末調整もしていますが、確定申告はしていません。問題ありますか?
A: いいえ、収入が給与所得のみで、勤務先で年末調整が適切に行われていれば、確定申告をしていないこと自体は問題ありません。
ただし、永住申請では直近5年分の「住民税の課税(または非課税)証明書」と「住民税の納税証明書」が必要です。これらの証明書が、所得額や扶養状況を正しく反映した形で、問題なく市区町村役場で取得できることが重要です。念のため、事前に取得して内容を確認しておくことをお勧めします。
Q5: 過去に不適切な扶養控除(例:送金実態のない海外の親族)をしていました。修正申告すれば永住申請は大丈夫ですか?
A: まず、不適切な申告状態を放置することは絶対に避けてください。これは「脱税」にあたり、発覚すれば永住は絶望的です。
- 修正申告は必須: 誤りがあった場合は、速やかに修正申告を行い、正しい税額を納める必要があります。
- 審査への影響: ただし、修正申告をしたとしても、「過去に不適切な申告をしていた」という事実は残ります。これはコンプライアンス意識が低いと見なされ、永住審査で不利になる可能性は否定できません。
- 正直な説明: 申請時には、なぜ誤りが生じたのか、そして現在はどのように改善しているかを理由書で正直に説明することが重要です。隠蔽するよりは、自ら誤りを正した方が心証は良いでしょう。
仕事・収入に関する質問
Q6: 転職回数が多いのですが、永住審査で不利になりますか?(毎年転職、収入は増加)
A: 転職回数が多いこと自体が即不許可になるわけではありません。 収入が増加している点はプラス評価です。
しかし、永住審査では「安定性・継続性」が重視されるため、頻繁な転職は「将来の安定性に懸念がある」と見なされる可能性があります。
以下の点が重要になります。
- 転職理由の合理性: キャリアアップなど、前向きで合理的な理由を理由書で具体的に説明できるか。
- 職務内容の一貫性: これまでのキャリアに一貫性があるか。
- 公的義務の履行: 転職時に社会保険や税金の手続きに漏れや空白期間がなかったか。
理由書で安定性をしっかりアピールすることが重要です。
家族・扶養に関する質問
Q7: 妻(家族滞在ビザ)の収入が一時的に130万円を超えましたが、健康保険の扶養に入ったままでした。問題ありますか?
A: いいえ、適切な手続きが取られていれば問題ありません。
2023年10月からの国の「年収の壁・支援強化パッケージ」により、パート・アルバイトの方が繁忙期などで一時的に収入が増加し年収130万円を超えた場合でも、勤務先の事業主が「一時的な収入増加である」ことを証明し、その証明に基づいて健康保険組合等が扶養継続を認めれば、そのまま扶養に入り続けることが可能です。
- 入管の視点: この国の制度に則った手続きの結果であれば、入管がそれを理由に「公的義務の不履行」などと判断することは通常考えられません。
- 重要なこと: ①収入増加が「一時的」であったことを証明する「事業主の証明書」を保管しておくこと。②本当に「一時的」であり、恒常的に130万円を超えていないこと。
- 対策: 念のため理由書で「〇〇年に一時的な収入増がありましたが、事業主の証明に基づき扶養は継続しています」と簡潔に説明するとより丁寧です。
Q8: 妻と子供が長期間里帰り出産で日本を離れます。児童手当を受け取り続けても大丈夫ですか?
A: 非常に危険です。不正受給と判断される可能性が極めて高いです。
- 受給資格: 児童手当は、生活の本拠が日本にある児童が対象です。半年以上の長期不在の場合、住民票があっても生活の本拠は日本国外と見なされ、受給資格を失うのが一般的です。
- 永住への影響: 不正受給は「公的義務の不履行」「素行不良」と判断され、永住審査で致命的なマイナス評価となり、不許可になる可能性が極めて高いです。
- 対策: 必ず、市区町村の窓口に長期不在の事実を正確に伝え、受給資格の有無と必要な手続き(受給事由消滅届など)を確認し、指示に従ってください。
申請手続きに関する質問
Q9: 永住申請中に同じ会社内で転勤(支店異動)しました。入管への届出は必要ですか?
A: 法律上の届出義務はありません。(所属機関が変わったわけではないため)
しかし、永住審査中に審査官が確認を取る可能性を考慮し、任意で入管に変更があったことを「資料提出通知書」などで知らせておく方が、審査遅延のリスクを避け、よりスムーズに進むためには望ましいでしょう。
配偶者の状況に関する質問
Q10: 永住者の夫と結婚して3年になります。もし離婚した場合、「定住者」ビザは取れますか?(子供なし、収入は安定)
A: 可能性はありますが、確実ではありません。
- 考慮される点: 実体を伴った婚姻・同居期間が3年以上あること、安定した収入があり日本で自立して生活できること(あなたの収入は非常に有利な要素です)、離婚理由などが総合的に審査されます。
- 子供の有無: 子供がいないことが即不許可の理由にはなりませんが、いる方が人道的な観点から有利になる傾向はあります。
- 専門家への相談: 離婚後の在留資格変更は非常にデリケートな問題ですので、必ず専門家にご相談ください。
Q11: 最近、私が永住許可を得ました。夫と子供のビザを申請したいのですが、「定住者」ですか?
A: 必ずしも「定住者」とは限りません。可能性としては以下の3つがあります。
- 「永住者」: もし夫やお子さんが既に日本に長く住んでおり、永住許可の緩和要件(婚姻・同居期間、在留期間など)を満たしていれば、直接永住申請が可能です。
- 「永住者の配偶者等」: 上記1の要件を満たさない場合、配偶者についてはこの在留資格を申請します。お子さんについては、出生時点で父または母が「永住者」であり、日本で出生した場合に限ります。
- 「定住者」: お子さんが日本国外で生まれた実子である場合など、特定の条件下で該当する可能性があります。
どの申請が最適かは、ご家族の詳細な状況によりますので、専門家にご相談ください。
免責事項
永住許可申請は、一人ひとり状況が異なり、審査も個別に行われます。ここに記載した内容は一般的な情報であり、すべての方に当てはまるわけではありません。ご自身の状況で少しでも不安な点があれば、安易に自己判断せず、必ず専門家にご相談ください。
「永住者」の申請サポートについて
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