永住ビザの素行善良要件とは? 交通違反・刑事事件歴・入管法違反の影響を徹底解説

永住ビザの審査で欠かせないのが「素行善良要件」です。これは一言でいうと「日本のルールを守って、まじめに暮らしているかどうか」。審査官は過去のトラブルや日常生活の態度を見て、その人が将来も日本で安心して暮らせるかを判断します。
このページでは、どんなところがチェックされやすいのか、もし問題があるときはどう対策できるのかをわかりやすくまとめました。
永住許可全体の基本的な条件を確認したい方は、こちらの総合ガイドからご覧ください。

素行善良要件とは?
法律用語では「素行善良」といいますが、意味はシンプル。「過去に犯罪や繰り返しの違反がないか」「社会のルールを守って生活できているか」を見られます。たとえ軽い違反でも繰り返したり、反省していないように見えると審査に不利になることがあります。
よくチェックされるポイント
- 刑事事件歴:罰金刑、執行猶予、実刑判決など。
- 交通違反:飲酒運転、スピード違反、信号無視、一時不停止など。
- 家庭や地域でのトラブル:DV、児童虐待、近隣との大きなトラブル。
- 社会的に非難される行為:詐欺、違法な商売、入管法違反など。
交通違反の具体的評価
「ちょっとスピードを出しすぎた」「一時停止を忘れた」――こうした交通違反も記録に残ります。永住の審査では意外と重視されるポイントなんです。小さな違反でも、繰り返すと「ルールを守る意識が低い」と見られてしまいます。
違反の重さと必要な無違反期間
- 重い違反(酒気帯び運転、酒酔い運転、無免許運転など):非常に厳しい評価。10年近くの無違反実績が必要になることも。
- 中程度の違反(信号無視、速度超過25km以上、携帯電話のながら運転など):3年以上無違反でようやく再チャレンジの目安。
- 軽い違反(駐車違反、一時不停止、速度超過20km未満など):単発なら許容されることも。ただし短期間に何度もあると不利。
点数制度から見た目安
| 区分 | 例 | 審査の傾向 |
|---|---|---|
| 6点以上 | 酒酔い運転、無免許運転など | 直近にあるとほぼ不許可。5〜10年の無違反が必要。 |
| 3〜5点 | 信号無視、速度超過25km以上、携帯使用 | 3年以上無違反が目安。直近や複数回は不利。 |
| 1〜2点 | 一時不停止、駐車違反、シートベルト | 単発なら軽微。短期間に複数回はマイナス。 |
※ 上記はあくまで一般的な目安です。実際には違反内容やその後の生活態度によって評価は変わります。
刑事事件歴の具体的評価
「昔トラブルを起こしたことがあるけど、永住はもう無理かな…?」と心配する方もいます。実際は内容や経過年数によって評価が変わります。ケースごとに整理してみましょう。
罰金刑・略式命令
- 例: 軽い万引き、軽度の暴行、器物損壊。
- 評価: 直近だと難しいですが、5年以上問題なく生活していれば再申請の余地があります。
- 対策: 反省文だけでなく、勤務先の推薦状や地域活動の証明があると信頼回復に役立ちます。
執行猶予付き判決
- 例: 傷害事件、窃盗など。
- 評価: 執行猶予期間終了から10年程度が経っていないと、申請はほぼ不可能と考えた方がいいでしょう。
- 対策: 安定就労・納税・家庭生活の安定を積み重ね、「更生した」ことを証拠で示す必要があります。
実刑判決・服役歴
- 例: 繰り返しの窃盗、薬物事件など。
- 評価: 永住は非常に難しいです。ただし社会復帰後に10年以上安定した生活を送り、厚い推薦状が揃えば可能性はゼロではありません。
- 対策: 専門家に相談し、推薦状や活動実績を丁寧に準備しましょう。
入管法違反について
「資格外活動の時間オーバー」「風営法対象のお店でのアルバイト」「更新遅れによる短期の不法残留」なども、たとえ刑事事件になっていなくてもマイナス評価につながります。
軽いものなら数年の無違反実績で回復可能ですが、反復すると「遵法意識が低い」と判断され、永住は難しくなります。
プラス評価につながる行動
- 安定した仕事と納税・社会保険加入:生活の基盤が安定していることが大切です。
- 再発防止の工夫:誓約書、社内ルール、講習受講など。
- 地域や学校との関わり:推薦状や活動記録が有効です。
- 家族生活の安定:DVがない、子供の就学が順調など。
ケーススタディ(よくあるパターン)
- ケース1:週28時間を超えてアルバイトを続けていた
- 対象: 留学生や家族滞在者。
対応: すぐに是正し、違反期間を明確にして事情を説明。3〜6か月はルールを守った実績を積んでから申請するのが無難です。 - ケース2:風営法対象施設でのアルバイト(接待行為の有無を問わず)
- 対象: 家族滞在や留学中の配偶者。
対応: すぐに退職し、関係を断つこと。反省文や再発防止策を準備し、別の適法な仕事を続けることで信頼を回復します。 - ケース3:更新を忘れて短期の不法残留
- 対象: 技人国・家族滞在など全ての在留資格。
対応: 医療や災害など理由がある場合は証拠を添えて説明。今後はカレンダー管理や専門家への依頼で再発防止を示すことが大切です。
※ ここでのケースはあくまで一例です。最終的な判断は入管局の審査官が行います。
申請前チェックリスト(素行・生活態度)
- 直近数年に反復的な違反がないか(是正・再発防止を文書化)。
- 過去事案の経過年数と改善実績を整理できているか。
- 申請書・理由書・証憑の説明一貫性を確認したか。
- 第三者の推薦・意見(職場・学校・地域)を用意できるか。
- 公的義務の履行(国益適合要件の主要要素)の整理は別途完了しているか。
※ このチェックリストは一般的な確認用です。個別の事情によって必要資料は変わります。
よくある質問(FAQ)
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まとめ
「素行善良要件」は、単に過去の違反の有無だけでなく、反復性・悪質性・経過年数・改善の努力・説明の一貫性といった要素を総合的に見て判断されます。たとえ過去に不安な点があっても、今の信頼性を証明する努力(安定した生活・推薦状・再発防止策など)によって、永住許可の可能性を高められるケースは少なくありません。
このページは一般的な解説です。実際の判断はケースごとに異なりますので、不安がある場合は専門家に相談してください。
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