外国人を採用するまで
1 はじめに
最初に確認しておかなければならないことがあります。それは、求人するにあたって外国人のみを対象とすることはできないということです。職業安定法第3条には「何人も、人種、国籍...等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない」とあります。
求人広告に「外国人歓迎」と表記することは、国籍によって優遇するものととらえられるため、認められません。のみならず、「国籍不問」も不可です。なぜかと言えば、国籍を問わないのは当然のことであり、特定の求人広告にあえて表示する合理的な理由がないからです。
では、外国人の応募を歓迎することをどうやって表現すればよいのでしょうか?
「日本語能力検定3級(N3)以上」これはOKです。あくまでも本人の適性・能力に基づいて選考をするという立場です。
「留学生歓迎」人種・国籍ではなく属性に基づく表記なのでこれはOKです。
2 職種を確認しましょう
日本人、外国人を問わず人を募集することにしました。
ここでまた注意が必要です。
日本人であればどんな仕事でもすることができます。しかし、外国人が日本で就労できる職種には制限があります。一般に単純労働と呼ばれる仕事のために外国人を採用することはできません(留学生等のアルバイトを除く)。
工場のライン労働者、飲食店での調理補助・ホール、コンビニのレジ係、パチンコ店の店員などに外国人を正社員として採用することはできません。
このような仕事に人を募集する場合には、日本人または「日本人の配偶者等」「永住者」などの身分系の在留資格を持っている外国人に限られることになります。
それ以外の一般の外国人については、エンジニア、通訳、貿易事務、経理、デザイナーなどの技術系、事務系の職種に限られますので、まずは募集したい職種に外国人を採用できるかどうかを確認しましょう。
3 人材の募集を始めましょう
ハローワーク、人材紹介会社等を通じて募集をかけます。
もちろん知り合いの紹介などでもいいでしょう。
4 応募者について確認しましょう
外国人の応募者が現れたら、まずは学歴と専門を確認します。
最終学歴が外国の学校である場合、短大卒以上でなければなりません(10年以上《通訳等の国際業務については3年以上》の実務経験がある場合を除く)。
日本の学校であれば専門学校卒でもかまいませんが、日本語学校卒ではダメです。もちろん、日本では日本語学校しか出ていなくても、本国で短大卒以上であれば問題ありません。
さて次に、短大、大学での専攻は何でしょう。
学校での専門と実際に担当する業務との間に関連性がなければなりません。
専門学校卒の場合は大卒以上に強い関連性が求められます。
採用を検討している職種と専門との間に関連がなければ在留資格は得られません。
(※2024年2月29日、出入国在留管理庁が「技術・人文知識・国際業務」に関するガイドライン、「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」を一部改定しました。それにより、専門学校卒業生であっても専攻科目と従事しようとする業務の関連性が柔軟に判断されるケースが出てきます。詳しくは「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」の改定(2024年2月29日)をご参照ください。)
その場合、他の人を探すか、関連性のある業務をオファーするかいずれかになります。
関連性があるかどうかわかりづらい場合は、応募者に学校の履修証明書や成績証明書を取ってもらいましょう。
例外として、通訳・翻訳、語学の指導の業務については、短大卒以上であれば専門を問いません。理系の学部を卒業した人であっても、通訳として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取ることができます。
次に、現在日本に在留中の外国人の場合は、在留カードを見ましょう。
在留カードを見ると、現在保有している在留資格がわかります。
「技術・人文知識・国際業務」「技能」であれば、すでに働いている人です。
その人が今就いている職種と御社が求人中の職種とが同じか近いものであれば、在留資格はそのままで大丈夫です。ただし、そのような場合でも、就労資格証明書の交付を受けたほうが御社としても働く外国人としても安心できます。
在留資格が「留学」や「家族滞在」だった場合は、在留資格変更許可申請をする必要があります。その場合は、上に書いたように学歴と専門を確認しましょう。
「日本人の配偶者等」「永住者」「定住者」等の場合は、学歴や専門、職種等は不問となります。
短期滞在で日本に来ている外国人は在留カードを所持していません。このような場合、そして海外在住者の場合は、在留資格認定証明書交付申請を行って、日本に呼び寄せることになります。この場合も、学歴、専門と職種との合致が必要となります。
5 雇用契約書を作成しましょう
書類審査、面接等を行い、採用を決定したら、雇用契約書を作成します。
「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格を申請するには雇用契約書または労働条件通知書が必要です。
在留資格を申請する前に雇用契約を結ぶ場合には、就労できる在留資格の取得を条件として雇用契約が効力を有することとする停止条件付き雇用契約としましょう。
なお、外国人が在留資格を得るための条件の一つに、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」がありますので、外国人だからといって日本人より安く雇えるわけではないことに注意が必要です。
6 在留資格の申請を行いましょう
呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請)、転職(就労資格証明書交付申請)、留学等からの変更(在留資格変更許可申請)とケースによって申請内容は異なりますが、いずれの場合も、本人に関する書類、会社に関する書類、申請書、理由書等の書類一式を入国管理局に提出し、在留資格の申請を行います。
「技術・人文知識・国際業務」の場合、申請の受理から許可まで通常1カ月から1カ月半かかります。
7 申請取次行政書士利用のすすめ
申請書や理由書の作成には手間がかかります。特に理由書については、入管を納得させられる内容でなければならず、ポイントがわからない人が作成した場合には不許可リスクが高まります。
また、在留資格変更許可申請の場合、入管への書類提出は申請者(外国人本人)が行わなければなりません。提出書類の中には会社の決算書も含まれます。決算書を見られたくないのであれば、会社の担当者が申請人と入管まで同行し、書類提出の直前に本人に手渡すなどといった策を講じることになります。
申請取次行政書士は入管の視点に立って申請書・理由書を作成することができますし、申請人(外国人本人)に代わって入管への書類提出・受け取りを行うことができます。決算書を申請人に見られる心配もありません。ぜひ申請取次行政書士をご利用ください。
8 東京就労ビザサポートなら
東京就労ビザサポートは東京都中央区日本橋人形町に位置しています。東京都をはじめ、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県で外国人を雇用される会社様を支援いたします。
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